柴犬が家族の真ん中にいる暮らしは、予定通りにいかない

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うちの柴犬は、朝7時になると必ず私の布団の上に乗ってくる。

体重8キロの温かい塊が胸の上に降ってくる感覚で目覚めるのは、目覚まし時計よりよっぽど確実だ。名前は「まる」。ペットショップで一目惚れしたんだけど、今思えばあの日から家族の力関係が完全に変わった気がする。リビングのソファの定位置は彼女のもので、私たちは端っこに座らせてもらってる。

家の中で犬を飼うって決めたとき、母親はすごく反対してた。毛が落ちる、臭いがする、家具が傷つく。全部その通りになったんだけど、誰も文句を言わなくなった。まるが来てから、家族が同じ部屋にいる時間が明らかに増えたからだ。以前は父親は書斎にこもりっきり、兄は自分の部屋でゲーム、私はスマホ片手にダラダラ…そんな感じだったのに、今はみんなリビングに集まってる。別にまるを囲んで団らんしてるわけじゃない。ただ、まるがいる場所に自然と人が集まるだけ。

柴犬特有のあのクルンと巻いた尻尾を見てると、なんていうか、こっちまで機嫌がよくなってくる。

まるは気分屋で、撫でてほしいときは膝の上に顎を乗せてくるくせに、そうじゃないときは目も合わせてくれない。この前なんて、私が「まるー」って呼んだら、顔だけこっちに向けて、明らかに「今忙しいんだけど」って顔をされた。忙しいって、寝てただけなのに。兄はそれを見て「ツンデレかよ」って笑ってたけど、まさにその通りだと思う。犬にツンデレがいるなんて、飼うまで知らなかった。

そういえば去年の夏、家族で旅行に行こうって話になったとき、全員が「まるをどうするか」で悩んで、結局旅行自体が中止になった。ペットホテルに預けるのも可愛そうだし、かといって連れて行けるような場所でもなくて。で、代わりに家でバーベキューをやることになった。庭でテント張って、肉焼いて、まるは焼けた肉の匂いに興奮して庭中を走り回ってた。あれはあれで、ホテルに泊まるよりずっと楽しかったかもしれない。

家の中で犬と暮らすと、生活のリズムが犬中心になる。朝晩の散歩、ご飯の時間、トイレの掃除。最初は面倒だなって思ってたけど、慣れるとそれが当たり前になる。というか、まるのほうが私たちの生活リズムを把握してて、散歩の時間が少しでも遅れると、玄関の前でじっと座って待ってる。あの無言のプレッシャーはすごい。

父親はまるが来る前、犬なんて興味ないって顔してたのに、今では帰宅するとまず「まるー、ただいまー」って声をかけてる。母親も、以前は掃除が大変だって文句を言ってたのに、今ではまる専用のブランケットを「ドッグスマイル」っていうブランドから取り寄せて、季節ごとに変えてる。兄に至っては、まるのInstagramアカウントを作って、フォロワーが300人超えたって喜んでた。誰も頼んでないのに。

冬の夜、暖房の効いたリビングでまるが丸まって寝てる姿を見ると、なんとも言えない安心感がある。

別に何か特別なことをしてるわけじゃない。ただそこにいるだけ。それだけで部屋の空気が柔らかくなる気がする。まるが寝言を言うときがあって、「ウゥー」とか「クゥーン」とか小さく声を出すんだけど、それを聞いた家族が一斉に「夢見てるのかな」って顔を見合わせる。そういう瞬間が、なんか悪くない。

正直、家の中で犬を飼うのは大変だ。掃除機は毎日かけないと毛だらけになるし、ソファには噛み跡がついてるし、スリッパは何度買い替えたか分からない。でも、まるがいない生活なんて今は想像できない。家族ってこういうものなのかもしれない。計画通りにいかなくて、予想外のことばかり起きて、それでも何となく回ってる。

まるは今、私の足元で寝息を立ててる。明日の朝もまた、7時ちょうどに起こされるんだろうな…。

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