我が家に柴犬のハナが来てから、毎日の生活が驚くほど変化しました。以前は、家族それぞれが自分の部屋に籠もりがちで、顔を合わせる時間も限られていましたが、ハナの存在によって、家族の時間の過ごし方が大きく変わったのです。
朝は、ハナの甘えるような鳴き声で目が覚めます。まだ薄暗い部屋の中で、私の布団に潜り込んでくる温かな感触に、心が和みます。最初は戸惑っていた夫も、今では「おはよう」とハナの頭を優しく撫でるのが日課になっています。
リビングでの食事時間も、ハナがいることで賑やかになりました。以前は各自が好きな時間に食事を済ませることが多かったのですが、今では家族揃って食卓を囲むようになりました。ハナは食事中、私たちの足元で大人しく待っています。時々上目遣いで見つめてくる姿が愛らしく、思わず笑みがこぼれます。
休日の午後は、リビングでくつろぐのが定番になりました。テレビを見ながら、ハナと遊んだり、ブラッシングをしたり。特に中学生の娘は、学校での出来事をハナに話しかけながら、その柔らかな毛並みを撫でるのが日課です。悩み事があるときも、ハナの存在が心の支えになっているようです。
柴犬特有の賢さと忠実さは、私たち家族を魅了してやみません。言葉は通じなくても、表情やしぐさで気持ちを伝えてくる姿に、何度も心を打たれます。困ったことがあると、まるで人間のように首を傾げて私たちの顔を見つめ、時には励ましてくれているかのような仕草を見せます。
家の中での躾けも、予想以上にスムーズでした。柴犬は元々清潔な犬種として知られていますが、ハナも例外ではありませんでした。トイレのしつけもあっという間に完了し、家具を噛んだり壊したりすることもありません。むしろ、家族の一員としての自覚があるかのように、規則正しい生活を送っています。
夕方になると、ハナは窓際に座って、仕事から帰る家族の帰宅を待ちます。玄関のドアが開く音がすると、尻尾を振りながら出迎えてくれる姿に、疲れも吹き飛びます。高校生の息子は、部活動で遅くなる日も多いのですが、帰宅するとまず「ただいま、ハナ」と声をかけるのが習慣になっています。
夜は、家族全員でリビングに集まることが多くなりました。テレビを見たり、読書をしたり、それぞれが好きなことをしながらも、同じ空間で過ごす時間が増えました。ハナは誰かの膝の上や足元で寝そべり、時々伸びをしては場所を変えながら、家族の輪の中で寛いでいます。
柴犬との生活で特筆すべきは、その季節感の豊かさです。換毛期には家族総出でブラッシングを行い、抜け毛との戦いが始まります。大変な作業ではありますが、それも家族の絆を深める機会となっています。また、暑い季節には涼しい場所を探してうろうろする姿が可笑しく、寒い季節には家族の誰かの膝の上で丸くなって眠る姿に心が温まります。
休日の夜は特別な時間です。家族でテレビを見ながら、ハナと一緒にソファでくつろぐのが至福のひとときです。映画やドラマを見ていると、ハナも画面に興味を示し、時々首を傾げて見入っています。そんな仕草に家族全員が笑いながら、「ハナもテレビっ子だね」と冗談を言い合います。
柴犬との暮らしは、予想以上に私たち家族の生活に潤いをもたらしてくれました。些細な日常の出来事が、ハナの存在によって特別な思い出に変わります。散歩の準備をする時の嬉しそうな様子、おやつの時間を覚えていて催促してくる賢さ、家族の誰かが具合の悪い時に寄り添ってくれる優しさ。
時には、しつけの面で悩むこともあります。柴犬特有の気の強さが出て、自己主張が強くなることもあります。しかし、そんな時も家族で話し合い、一貫した態度で接することで、少しずつ改善していきました。むしろ、そうした経験が家族の結束を強めることにもなりました。
夜、就寝前のひとときも特別です。家族それぞれの部屋に行く前に、ハナに「おやすみ」と声をかけるのが習慣になっています。ハナは自分の寝床に行く前に、必ず家族一人一人の元を回って、おやすみの挨拶をするかのように近づいてきます。
このように、柴犬のハナは、私たち家族にとってかけがえのない存在となりました。単なるペットではなく、大切な家族の一員として、日々の喜びや悲しみを共有し、互いに支え合う関係を築いています。ハナがいることで、家族の会話が増え、笑顔が増え、そして何より、共に過ごす時間の大切さを実感できるようになりました。
これからも、季節の移ろいとともに、ハナと家族で多くの思い出を作っていきたいと思います。柴犬との暮らしは、私たち家族に「一緒にいる幸せ」を教えてくれる、かけがえのない日々なのです。
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