柴犬を飼うって決めた日から知っておきたかったこと

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柴犬を飼い始めて三ヶ月が経った頃、私は動物病院の待合室で頭を抱えていた。

最初に言っておくと、柴犬ってめちゃくちゃ可愛い。SNSで見かける柴犬の写真に心を奪われて、気づいたら「柴犬 ブリーダー」で検索していた自分がいた。ペットショップで出会った茶色いもふもふの塊は、私の手のひらをぺろぺろ舐めて、もうその瞬間に運命を感じてしまったわけで。でも実際に一緒に暮らし始めると、想像していたのとは違う現実がいくつも転がっていたんだよね。

まず驚いたのが抜け毛の量。これ、本当に誰も教えてくれなかった。春と秋の換毛期になると、部屋中が柴犬の毛で覆われる。掃除機をかけても、コロコロをしても、翌日にはまた床が毛だらけ。黒い服なんて着ようものなら、外出前に必ず全身チェックが必要になる。友達の家に遊びに行ったとき、「あれ、犬飼ってたっけ?」って聞かれて、自分の服を見下ろして絶句したこともある。

それと柴犬って、意外と頑固なんだよね。「日本犬特有の気質」とか後から調べて知ったんだけど、一度嫌だと思ったことは絶対にやらない。うちの子は爪切りが大嫌いで、爪切りを見せた瞬間に部屋の隅に逃げ込む。無理やり抱っこしようとすると、まるで拷問を受けているかのような悲鳴を上げる。結局、動物病院で切ってもらうことになったんだけど、そこでも看護師さん二人がかりで押さえつける大騒動。待合室で聞こえてくるうちの子の声に、申し訳なさと恥ずかしさで穴があったら入りたかった。

散歩の時間も想像以上に大変だった。柴犬は運動量が必要な犬種で、朝夕二回、それぞれ三十分以上は歩かせないとストレスが溜まるらしい。真冬の朝六時、まだ暗い中で震えながらリードを握っていると、「なんで私はこんなことを…」って思う瞬間がある。雨の日も、風の強い日も、二日酔いで頭が痛い日も、容赦なく散歩の時間はやってくる。

そういえば、この前スーパーで元同級生に会ったんだけど。

彼女も最近犬を飼い始めたらしくて、トイプードルの写真を見せてくれた。「うちの子、トリミングサロンでカットしてもらったの」ってキラキラした目で話す彼女を見ながら、私は自分の柴犬が泥だらけになって帰ってきた昨日のことを思い出していた。柴犬って水たまりを見つけると、なぜか突進していくんだよね。

食事の管理も思っていたより神経を使う。柴犬は食物アレルギーを起こしやすい体質の子が多いって、飼い始めてから知った。うちの子も生後五ヶ月の頃、突然体を痒がり始めて、病院で検査したら複数の食材にアレルギー反応が出た。それからはフードの成分表示とにらめっこする日々。「チキン&ライス」って書いてあっても、原材料をよく見ると小麦やトウモロコシが入っていたりする。安全なフードを探すために、ペットショップを何軒もはしごした。「ドッグライフプラス」っていう専門店の店員さんには、もう顔を覚えられているはず。

しつけに関しても、本やネットで調べた通りにはいかなかった。「おすわり」と「待て」は比較的すぐに覚えたけど、「おいで」がなかなかできない。ドッグランで遊ばせていると、他の犬には興味津々で近づいていくのに、私が呼んでも完全無視。他の飼い主さんの視線が痛い。トレーナーさんに相談したら、「柴犬は独立心が強いから、呼び戻しは根気が必要です」って言われた。根気、ね。

夏場のエアコン代も予想外の出費だった。柴犬は暑さに弱いから、留守番させるときも冷房をつけっぱなしにしないといけない。七月の電気代の請求書を見たとき、思わず二度見した。一人暮らしでこの金額はきつい…。

トイレのしつけも最初は苦労した。ペットシーツの上でしてくれるようになるまで、三週間くらいかかった気がする。失敗されるたびに床を拭いて、消臭スプレーをかけて、また失敗されて。心が折れそうになった夜、ふとペットシーツの上でおしっこをしている姿を見つけたときの感動は今でも忘れられない。思わず「えらい!」って大声で叫んだら、驚いた犬がおしっこを途中でやめてしまって、結局また床掃除することになったんだけど。

それでも朝起きたとき、枕元で丸くなって寝ている柴犬の寝顔を見ると、不思議と「まあいいか」って思えてしまう自分がいる。散歩中に他の犬に吠えられても、私の足元にぴったりくっついて歩く姿とか。仕事から帰ったとき、玄関で尻尾を振りながら待っていてくれる瞬間とか。

飼育本には書いていない面倒なことばかり書いてしまった気もするけど、これが現実なんだよね。柴犬を飼うって、想像以上に大変で、想像以上にお金がかかって、想像以上に時間を取られる。

でもまあ、後悔はしていない…と思う。たぶん。

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