柴犬を飼うって、思ってたより全然違った話

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柴犬を飼い始めたのは去年の秋だった。

名前はコタロウ。ペットショップで出会ったとき、あのクリクリした目に完全にやられて、気づいたら契約書にサインしてた。SNSで見る柴犬ってみんな可愛くて従順で、飼い主の言うことちゃんと聞いてるじゃん? だから正直、そんなに大変じゃないだろうって思ってたんだよね。

甘かった。

まず驚いたのが、柴犬って意外と頑固。いや、頑固なんてレベルじゃない。「柴犬は日本犬特有の独立心が強い」って本には書いてあったけど、実際に体験すると想像の三倍くらい自我が強い。散歩中に行きたくない方向には絶対行かないし、トイレトレーニングも「ここでしろって言われても、俺はあっちがいい」みたいな顔でこっちを見てくる。最初の二ヶ月は本気で心が折れそうだった。朝五時に起こされて、部屋の隅でやらかされた跡を掃除しながら、「なんで俺、犬なんか飼っちゃったんだろう」って何度思ったか。

それと抜け毛。これはマジで覚悟が必要。換毛期になると部屋中が毛だらけになる。掃除機かけても、コロコロしても、気づいたらまた床に毛の塊が転がってる。黒い服なんて着た日には、もう外出できないレベル。友達に「お前、犬飼ってるの隠す気ないだろ」って笑われたのは三月くらいだったかな。春先の換毛期、あれは本当にエグい。

ちなみに俺、昔ハムスター飼ってたことあるんだけど。

あれは楽だったな、今思うと。ケージの中で完結してたし、散歩もいらないし。でもハムスターって二年くらいで死んじゃうから、あの別れは辛かったけど…まあ、それはまた別の話か。

柴犬の飼育で一番気をつけないといけないのは、たぶん運動量だと思う。小型犬だからって侮ってると痛い目に遭う。コタロウは朝晩、それぞれ最低三十分は散歩しないと機嫌が悪くなる。雨の日も、寒い日も、二日酔いで死にそうな朝も関係ない。犬は待ってくれないから。最初は「今日くらいいいか」ってサボったら、家の中で暴れまくって、お気に入りのクッションをズタズタにされた。それ以来、どんなに眠くても散歩には行くようにしてる。

あと社会化。これ、子犬のうちにちゃんとやっておかないと後が大変らしい。生後三ヶ月から四ヶ月くらいまでに、いろんな人や犬に会わせて、いろんな音や環境に慣れさせる。俺はこれをちょっと怠ったせいで、コタロウは今でも宅配便の人に吠えまくる。インターホンが鳴るたびに「ワンワンワン!」って全力で警戒する姿は、まあ番犬としては優秀なのかもしれないけど、近所迷惑だよなって思う時もある。

食事も意外と気を遣う。柴犬って食物アレルギーが出やすい犬種らしくて、安いドッグフードを適当にあげてたら皮膚が赤くなっちゃって。動物病院で「グレインフリーのフードに変えてみて」って言われて、それからは「アカナ」っていうカナダ製のちょっと高めのやつにしてる。月のエサ代だけで一万円近く飛ぶのは正直きついけど、コタロウの健康には代えられない…って、いつの間にか親みたいなこと言ってる自分がいて笑える。

真夏の散歩も要注意。アスファルトが熱くなってると肉球が火傷するから、早朝か夜遅くじゃないとダメ。去年の八月、昼間に「ちょっとだけなら」って散歩に出たら、コタロウが途中で歩かなくなって、抱っこして帰る羽目になった。体重十キロの犬を抱えて真夏の住宅街を歩く三十代男性。通りすがりのおばさんに心配された。

でもさ、文句ばっかり言ってるけど、悪いことばかりじゃないんだよね。朝早く起きるようになったから生活リズムは整ったし、毎日歩くから運動不足も解消された。それに、家に帰ったとき、玄関でシッポ振って待っててくれるあの瞬間は、何にも代えがたいっていうか。

結局、柴犬を飼うってことは、自分の生活を犬中心に組み直すってことなんだと思う。自由な時間は減るし、お金もかかるし、大変なことだらけ。でも、それでも「飼わなきゃよかった」とは思わない。思わないんだよな、不思議と。

明日も朝五時に起こされるんだろうけど。

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