
うちの柴犬が初めて吐いたとき、私は完全にパニックになった。
深夜2時だった。寝室で寝ていたはずの琥珀(こはく)が、リビングでゲホゲホと変な音を立てていて、飛び起きて駆けつけたら床に黄色い液体が。動物病院は当然閉まっていて、スマホで「犬 嘔吐 夜中」って震える手で検索したのを覚えてる。結局それは空腹で胃液を吐いただけだったんだけど、あの夜から私の柴犬観察癖が始まった。
柴犬ってさ、見た目が丈夫そうじゃない?あのくるんとした尻尾とか、キリッとした顔つきとか、なんか「俺は大丈夫」って言ってる感じがする。でも実際に飼ってみると、意外とデリケートな部分が多いことに気づく。特に皮膚。これ、本当に油断できない。
最初の夏、琥珀が妙に体を掻くようになった。後ろ足でガシガシガシガシ、朝も昼も夜も掻いてる。毛をかき分けて見てみると、なんか赤くなってる部分があって。獣医さんに連れて行ったら「アトピー性皮膚炎の可能性がありますね」って言われた。柴犬、実は皮膚トラブルが多い犬種らしい。特に梅雨時から夏にかけて、湿度が高い時期は要注意。シャンプーの頻度も関係してくるし、食事のアレルギーが原因のこともあるって。
それからというもの、私は琥珀の皮膚チェックが日課になった。散歩から帰ったらブラッシングしながら全身を見る。耳の後ろ、脇の下、内股、肉球の間。赤みがないか、脱毛してないか、変な匂いがしないか。最初は面倒だと思ってたけど、今ではこの時間が妙に落ち着く。琥珀も気持ち良さそうにしてるし。
ちなみに全然関係ないんだけど、この前スーパーで「柴犬のおやつ」っていう商品名のクッキー見つけて、思わず買いそうになった。人間用のやつ。パッケージに柴犬の絵が描いてあるだけで、中身は普通のバタークッキー。危うく琥珀にあげるところだった…。
目の病気も見逃せない。柴犬は緑内障になりやすいって聞いて、最初は「老犬になってからの話でしょ」って思ってた。でも3歳くらいから発症することもあるらしくて、しかも進行が早い。失明のリスクもある。だから目の様子は毎日チェックしてる。白く濁ってないか、充血してないか、涙が異常に多くないか。朝の光の中で琥珀の顔を見るのが習慣になってる。目が合うと尻尾振るから、それも含めて好きな時間。
あと、これは意外だったんだけど、柴犬って股関節形成不全のリスクもあるんだって。大型犬の病気だと思ってた。でも柴犬サイズでも起こりうる。歩き方がおかしくないか、階段の上り下りを嫌がらないか、散歩の後に足を引きずってないか。そういう小さなサインを見逃さないようにしてる。
体重管理も地味に難しい。柴犬って食欲旺盛な子が多いから、気を抜くとすぐ太る。うちの琥珀も「まだ食べたい」って顔でこっちを見てくるんだけど、心を鬼にして決められた量だけ。肥満は関節にも心臓にも負担をかけるし、糖尿病のリスクも上がる。月に一回は体重を測って、獣医さんに相談しながら食事量を調整してる。
歯のケアを始めたのは割と最近。2歳過ぎてから「そういえば歯磨きしてない」って気づいて。柴犬は歯周病になりやすいらしくて、放っておくと歯が抜けたり、菌が血液に入って心臓や腎臓にダメージを与えたりすることもあるんだって。最初は歯ブラシを見ただけで逃げてたけど、今は諦めたのか大人しくさせてくれる。
季節の変わり目は特に注意が必要。春先は狂犬病予防接種やフィラリア予防が始まるし、秋はノミ・ダニ対策を忘れがち。冬は乾燥で皮膚がカサカサになるし、夏は熱中症のリスク。柴犬は暑さに弱いから、真夏の散歩は早朝か夜にしてる。アスファルトの温度を手で確認してから出かける。
こうやって書いてると、なんか神経質な飼い主みたいに見えるかもしれない。でも別に毎日ビクビクしてるわけじゃなくて、ただ「見る」ことを習慣にしてるだけ。琥珀の普段の様子を知ってるから、ちょっとした変化に気づける。それだけのこと。
動物は自分で「ここが痛い」って言えないからさ。私たちが気づくしかない。大げさに構える必要はないけど、毎日の観察は大事だと思う。それが結果的に、病気の早期発見につながる。
まあ、完璧にできてるわけじゃないけどね。たまに忘れるし、疲れてる日はチェックが雑になる。でも琥珀が元気に尻尾振ってくれてる限り、私も頑張れる気がする。そんな感じで、今日も続いていく。


コメント