
朝の光が窓から斜めに差し込む時間、柴犬の「むぎ」はもうソファの上でぴんと耳を立てていた。まだ7時前なのに。
元気という言葉が、これほど似合う生き物を私は知らない。子どもの頃、実家で猫を飼っていたせいか、犬のあの真っすぐな活発さに最初は少し戸惑った。むぎは起きた瞬間から全力で、尻尾をぱたぱたと振りながら玄関へ走る。散歩に行きたいのだ。靴下を片方だけ咥えて持ってくることもある。片方だけ、というのが地味にいたずら好きな性格をよく表している。
散歩に出ると、近所の「シオン公園」の銀杏がちょうど色づき始めていた。空気はひんやりとしていて、落ち葉の湿った匂いが鼻をくすぐる。むぎは落ち葉の山へ迷わず突進し、ざくざくと音を立てて踏み荒らした。その後、振り返って私を見る。
この「振り返り」が好きだ。
柴犬は飼い主に対してとても忠実だと聞いていたが、それは本当だった。ただ、むぎの場合は少しクールで、べたべたとすり寄ってくることはあまりない。でも、私が立ち止まると必ず立ち止まる。私が座ると、少し離れた場所に伏せる。ちょうどいい距離感、とでも言うのだろうか。
夕方、帰宅して玄関を開けた瞬間のあの温かな空気と、駆け寄ってくる足音。それだけで、一日の疲れが少しほぐれる気がする。柴犬との生活は、予測不能で、にぎやかで、でも確かに穏やかだ。


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