柴犬と過ごす週末の公園が、思ったより体力勝負だった話

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気づいたら、私は芝生の上で息を切らしていた。

相手は柴犬のハルという名前の、今年で3歳になるオスだ。友人が急な出張で預けていったんだけど、正直なめてた。犬と遊ぶって、ボール投げてのんびり散歩するくらいだと思ってたから。実際は違う。全然違う。朝10時に公園に着いて、まだ1時間しか経ってないのに、すでに私の体力ゲージは半分を切っている。ハルはといえば、舌を出してハァハァ言いながらも、まだ目がキラキラしてる。あの「もっと遊ぼうぜ!」って顔。勘弁してくれ。

その日は5月の終わり頃で、天気予報が「行楽日和」とか言ってた。確かに雲ひとつない青空で、風も心地よくて、公園にはレジャーシートを広げた家族連れがいくつも見える。木陰のベンチではおじいさんが新聞を読んでいて、遠くから子どもたちの笑い声が聞こえてくる。いい天気すぎて逆に怖いくらい。こういう日に限って、後で日焼けがひどいことになるんだよね。

ハルが私の足元にテニスボールを落とした。これで何回目だろう。もう数えるのをやめた。拾い上げると、ボールは犬の唾液でぬるぬるしていて、若干の土と草の匂いがする。投げる。ハルが弾丸のように駆け出す。柴犬って小型犬のカテゴリだと思ってたけど、走る姿は小さな猛獣だ。あの筋肉質な後ろ足、地面を蹴る音、風を切る耳。ボールをくわえて戻ってくるときの得意げな表情がまたかわいくて、つい「よしよし」とか言ってしまう。で、またボールを落とされる。エンドレス。

前に飼ってた金魚のことを思い出した。水槽の中でぼーっと泳いでるだけで、餌をやるのも1日1回。たまに水替えするくらいで、ほとんど手がかからなかった。あれはあれで癒しだったけど、今考えるとインタラクションがほぼゼロだったな。ハルはその真逆。こっちが疲れてようが関係なく、全身で「遊ぼう!」を表現してくる。生命力の塊というか、エネルギーの暴力というか。

途中で給水タイムを取った。私が持ってきた水筒から水を飲み、ハル用の折りたたみボウルに水を注ぐ。ハルはものすごい勢いで水を飲んで、周りに水滴を飛び散らかす。そのあと芝生にゴロンと転がって、背中をこすりつけ始めた。気持ちよさそうな顔してる。犬って本当に表情豊かだよね。喜怒哀楽が全部顔に出る。人間ももっとそうだったらコミュニケーション楽なのに、とか考えてたら、ハルがまた起き上がってボールを咥えてきた。

休憩終了らしい。

公園の端っこには桜の木があって、もう葉っぱだけになってるけど、その木陰がちょうどいい感じに涼しい。そこに移動してボールを投げ続ける。さっきまでいた芝生の広場より人が少なくて、思い切り投げられる。ハルも嬉しそうに走り回る。その様子を見てると、こっちまで楽しくなってくるから不思議だ。疲れてるのに。太ももが悲鳴をあげてるのに。なんでだろうね。

隣のエリアでは若いカップルがフリスビーをやっていて、女性の方が投げるたびに「すごーい!」とか言ってる。あれ絶対わざとだろ、と心の中でツッコミを入れつつ、私はまたボールを投げる。ハルが取りに行く。戻ってくる。投げる。取りに行く。戻ってくる。このループ、瞑想に近いものがあるかもしれない。無心になれる。余計なこと考えなくなる。仕事のこととか、来週の予定とか、全部どうでもよくなる。

正午を過ぎた頃、さすがのハルも少しペースダウンしてきた。ボールを取りに行くスピードが若干落ちて、戻ってくるときに途中で立ち止まって周りを見回したりする。そろそろ限界かな、と思ったけど、まだ遊ぶ気は満々らしい。柴犬の体力、恐るべし。

結局、公園を出たのは午後2時過ぎだった。帰り道、ハルは私の横をゆっくり歩いて、時々上を見上げてくる。その顔が満足そうで、「今日は楽しかったね」って言ってるみたいだった。私の方はというと、両足がパンパンで、明日は確実に筋肉痛だろうなと思いながら歩いてた。でも悪い気分じゃない。

家に着いてシャワーを浴びて、ソファに倒れ込んだ。ハルは水を飲んだあと、リビングの隅で丸くなって寝始めた。寝顔が穏やかで、小さく寝息を立ててる。私もそのまま目を閉じた。

犬と遊ぶのって、こんなに疲れるんだな。でもまた行きたいと思ってる自分がいる。変なの。

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