朝日が昇り始めた休日の早朝、私は愛犬の柴犬・はなちゃんと一緒に、いつもの公園へと足を向けていました。はなちゃんは3歳になったばかりの元気いっぱいの女の子。真っ赤な首輪が、茶色い毛並みによく映えています。散歩のリードを持つと、すぐにわかるのです。今日も楽しい1日になることが。
公園に着くと、まだ人影はまばら。朝露に濡れた芝生が、朝日に輝いて美しい光景を作り出しています。はなちゃんの目が輝き始め、尻尾が嬉しそうに左右に揺れています。「よーし、今日は思いっきり遊ぼうね!」私の声に反応して、はなちゃんが小さな声で鳴きました。
まずは準備運動がわりに、広場の外周を軽くジョギング。柴犬は運動量が多い犬種なので、毎日の運動は欠かせません。はなちゃんは私の横をピッタリとついて走ります。時々、私の顔を見上げては、嬉しそうな表情を見せてくれます。その笑顔に、私も自然と笑みがこぼれます。
一通り体が温まったところで、はなちゃんの大好きなボール遊びの時間です。赤いゴムボールを取り出すと、はなちゃんの目の色が変わります。狩猟本能が目覚めた瞬間です。ボールを投げると、茶色い影のように芝生の上を駆け抜けていきます。柴犬特有のコンパクトな体型を活かした、素早い動きには目を見張るものがあります。
ボールをくわえて戻ってきたはなちゃんの息は少し荒くなっていますが、目は輝いたまま。「もっと遊びたい!」という意思表示です。何度も何度もボールを投げては、はなちゃんが追いかけます。時には、わざと低く投げて転がすと、まるでサッカー選手のように器用にボールを追いかけていきます。
公園には徐々に人が増えてきて、他の犬の姿も見えるようになりました。はなちゃんは社交的な性格で、特に同じ柴犬を見かけると興味津々。今日も向こうから、若い柴犬が散歩に来ているのが見えました。お互いの飼い主の許可を得て、二匹を近づけさせます。
慎重に挨拶を交わす二匹の柴犬。しばらくすると、じゃれ合って遊び始めました。柴犬同士の遊びは見ていて微笑ましいものです。お互いの力加減を知っているかのように、優しく遊び合います。時々、クルクルと回って追いかけっこを始めたり、おもちゃの取り合いっこをしたり。野生の本能と、家庭犬としての躾が絶妙なバランスで共存している様子が垣間見えます。
休憩時間には、持参した水とおやつを与えます。はなちゃんは水を飲むときも作法よく、こぼさずにゆっくりと飲みます。おやつは特別なご褒美として、少しずつ与えるようにしています。「お手」や「お座り」などの基本的な芸を披露してくれた後に、喜んでおやつを受け取る姿は何度見ても愛らしいものです。
公園の一角には小さな池があり、そこには水鳥が集まっています。はなちゃんは興味深そうに鳥たちを観察しますが、追いかけることはしません。これも日頃の躾の賜物です。代わりに、池の周りの草むらの匂いを嗅ぎ回ることに夢中になります。柴犬の優れた嗅覚で、きっと私には感じ取れない様々な情報を得ているのでしょう。
時には、芝生の上に寝転んで空を眺めることもします。はなちゃんは私の横にピタリと寄り添って、一緒に雲の形を眺めます。柔らかな風が吹き抜けていく中、はなちゃんの温もりを感じながら過ごす時間は、何物にも代えがたい幸せなひとときです。
公園での遊びの締めくくりには、いつも決まったコースを散策します。季節の花々や木々の様子を眺めながら、ゆっくりと歩を進めます。はなちゃんも疲れが出てきたのか、私のペースに合わせてのんびりと歩きます。時々立ち止まっては、周りの景色や匂いを確認する様子は、まるで観光客のようです。
帰り道、はなちゃんの歩みは少し遅くなっていますが、満足そうな表情を浮かべています。たくさん遊んで、たくさん運動して、新しい友達にも会えた充実した休日の朝。家に着くと、はなちゃんはいつもの場所でクルクルと回って寝床を作り、幸せそうに眠りにつきました。
柴犬との暮らしは、こうした何気ない日常の中に特別な喜びがあります。忠実で賢く、時には少し頑固な面もある柴犬の性格は、日本人の心性とどこか通じるものがあるのかもしれません。はなちゃんと過ごす休日の朝は、私にとってかけがえのない宝物となっています。
外で思い切り遊ぶことは、犬にとっても飼い主にとっても、心身のリフレッシュになります。特に柴犬は活発な性格なので、十分な運動は健康維持に欠かせません。また、様々な環境に触れることで、社会性も育まれていきます。こうした日々の積み重ねが、愛犬との絆をより一層深めていくのだと実感しています。
今日も私とはなちゃんの大切な思い出が、また一つ増えました。明日からの日常も、この子となら楽しく乗り越えていけそうです。窓際で寝息を立てているはなちゃんを見ながら、次の休日の計画を立て始める私の心は、もう次の冒険への期待で膨らんでいます。
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