
近所の公園に行くたびに思うんだけど、柴犬ってなんであんなにテンション高いんだろう。
朝の7時半くらい、まだ露が降りてる芝生の上を、茶色い弾丸みたいな生き物が駆け回ってる。飼い主さんは必死にリードを握りしめてるんだけど、完全に引きずられてる。あの光景を見るたびに「ああ、今日も柴犬が勝ってるな」って思う。特に若い柴犬はすごい。ボール投げてもらった瞬間の加速力、あれ絶対時速30キロは出てる。しかも取ってきたボールを絶対に渡さない。「持ってこい」じゃなくて「奪ってみろ」ゲームになってるのが柴犬クオリティだと思う。耳をぺたんと倒して、お尻だけ高く上げて、「取れるもんなら取ってみな」みたいな顔してる。あの得意げな表情がたまらなくて、通りすがりの私まで笑ってしまう。
公園の砂場エリアでは、別の柴犬が穴掘りに夢中になってた。
前足で砂をかきまくって、後ろ足で盛大に砂を飛ばして、もはや工事現場。飼い主さんが「やめなさーい!」って叫んでるのに、本犬(本人ならぬ本犬)は完全に聞こえてないふり。耳はピクピク動いてるから絶対聞こえてるのに、知らんぷり。柴犬の選択的難聴、あれ絶対わざとやってる。で、穴掘りに飽きたら今度は別の犬に突撃していく。相手がゴールデンレトリバーだろうがシベリアンハスキーだろうがお構いなし。体格差なんて関係ない。「遊ぼうぜ!」とばかりに体当たりしていく姿は、もはや勇敢というか無謀というか。
そういえば去年の夏、友達が「柴犬飼いたい」って言い出したことがあった。
「可愛いじゃん、柴犬。日本犬だし、飼いやすそうだし」って。私は全力で止めた。「あのね、柴犬は見た目に騙されちゃダメなやつだから」って。友達はポカンとしてたけど、本当のことだから仕方ない。結局その友達はトイプードルを飼って、今は平和に暮らしてる。正解だったと思う。トイプードルも元気だけど、柴犬の元気とは種類が違う。柴犬の元気は、なんていうか、野生に近い。
午後になると公園の雰囲気も変わってくる。西日が差し込んで、木々の影が長く伸びる時間帯。この時間に来る柴犬たちは、朝組とはまた違った感じで遊んでる。少し落ち着いてるっていうか…いや、やっぱり落ち着いてない。ベンチの下に潜り込んでみたり、水飲み場の周りをぐるぐる回ってみたり、とにかくじっとしてない。飼い主さんが「休憩しよう」ってベンチに座っても、柴犬は座らない。座るという選択肢が存在しない。立ったまま尻尾を振り続けて、「次は?次は何するの?」って顔でこっちを見てる。あの期待に満ちた目、あれ見てると「ああ、この子たちにとって人生は常に進行形なんだな」って思う。
公園の隅に「ドッグラン・サニーパーク」っていう小さなエリアがあって、そこは柵で囲まれてるからリード外してOKなんだけど。
そこに柴犬が入った瞬間、本当の地獄が始まる。いや、天国か。本犬にとっては天国で、飼い主にとっては地獄。リードから解放された柴犬は、もう誰の言うことも聞かない。呼んでも来ない、おやつで釣っても来ない。他の犬を追いかけ回して、追いかけられて、転がって、また走って。土の匂いと犬の興奮した息遣いと、飼い主たちの疲れた笑い声が混ざり合ってる。夕方の斜めの光の中で、柴犬の巻き尾がくるくる揺れながら走り回ってる様子は、確かに絵になる。写真撮ってる人も多い。でもあれ、絶対ブレてると思う。柴犬の動き、速すぎてシャッタースピード追いつかないから。
遊び疲れた柴犬っていうのを、私はまだ見たことがない。
「そろそろ帰ろうか」って飼い主が言い出す頃になっても、柴犬はまだ元気。リードつけられて公園を出る時も、振り返り振り返り、「まだ遊べるのに!」って顔してる。あの未練たらしい後ろ姿を見るたびに思うんだけど、柴犬にとって遊びって終わりがないんだろうな。体力の限界が来る前に、飼い主の方が先にギブアップする。それが柴犬との暮らしなんだろうって、公園で観察してるだけの私でも分かる。
だから何が言いたいかっていうと、別に何も。ただ、明日も公園行ったら、また柴犬が走り回ってるんだろうなって…それだけ。


コメント